SafetyFastブログ

趣味の重量輸送関連技術紹介と、投資関連知識の備忘録です。

<重量輸送>ALE社 オフショアプラントフレアチップ交換技術

今日はALE社によるオフショアプラントのフレアチップ交換技術(Flare Tip Handling Packag)動画を紹介します。

オフショアとはオンショアの対義語で、業界では海の上、という意味で使われます。海上油田・ガス田等があるような地域ではオフショアプラットフォームを建造し、処理施設として使います。

 


Offshore flare tip replacement animation

 

f:id:kgkg80:20191024182141j:plain

ALE社のスローガンであるSMARTER, SAFER, STRONGERから始まります。日本の業者さんと比べて海外の業者さんはこういう動画やPVを作るのが得意ですね。国民性でしょうか。

 

f:id:kgkg80:20191024182144j:plain

本題のFlare Tip交換です。

オフショアプラントの原油・ガス処理施設には例外なくフレアが設置されています。フレアは処理中に生じる余計なガスや、プラントが予期せぬ事態になり緊急遮断される場合等に生じるガス等を排出しプラントの破損や大きな事故を防ぐ役割があります。ガスをそのまま大気に放出すると二次災害や環境破壊の懸念があるため燃やして排出されます。

フレアはいつプラント系内からガスが噴き出てきても燃焼排出できるように、常時種火で燃焼しています。従い、先端のフレアチップは過酷な環境にさらされており、艇的な整備・交換が必須となります。

 

f:id:kgkg80:20191024182147j:plain

フレアの先端は放射熱による設備の破損を防ぐため非常に高いところに設置されており、オフショアプラットフォームに常設しているクレーンでは届きません。従い特殊な工法を用いてフレアチップを交換する必要があります。

ALE社の手法はModular Lifting System(モジューラーリフティングシステム)と呼ばれます。フレアチップ周りに設置されたプラットフォーム上に仮設の吊り上げ機構をくみ上げます。このModular Lifitng Systemはプラットフォーム単にワイヤで固定されます。

 

f:id:kgkg80:20191024182150j:plain

まずはこの格子構造の仮フレームでより頑丈なパイプ状のフレームを組みます。

この動画に描写はないですが、おそらく格子構造の仮設フレームはブロックごとに分割でき、小さいチェーンホイスト等でこのプラットフォームに運んでくるものと思われます。パイプ状のフレームは見たところ非常にごついので、この格子構造の仮フレームを使わなければくみ上げられないのでしょう(私見です)。

 

f:id:kgkg80:20191024182153j:plain

この第二仮フレーム(Secondary Lift Structure)によってメインの吊り荷であるフレアチップを吊り上げます。Secondary lift structureはヒンジのようになっておりパタパタと位置を変えられます。この作業プラットフォームの設計荷重や手すり部分の構造など、この機材使用を見越した設計にする必要がありそうです。

f:id:kgkg80:20191024182158j:plain

スプレッダーをかませてSecondary Lift structureを使い、開口部分からチップを下ろしていきます。

f:id:kgkg80:20191024182201j:plain

本設ではなく仮機材のため、使用前には荷重テストをするようです。

f:id:kgkg80:20191024182204j:plain

開口部分からチップを下ろしたら作業プラットフォーム直下に設置されている本設のホイストで地上付近までフレア鉄骨の中を下ろしていきます。直近に梯子の踊り場があり、作業員のスペースとして使うような設計になっています。しかしながらこれではフック掛け替えはできないのでおそらくロープアクセスの人員が別にいるはずです。

ここに本設のクレーンシステムをつけるならフレア直近につければよいじゃんと思ったのですが、おそらく放射熱があるのでフレアチップ付近にはこういった機構は本設ではつけられないのでしょう。

f:id:kgkg80:20191024182212j:plain

デッキ付近まで下ろしたのち、レールシステムでフレア架構の中から取り出し、本設のクレーンを用いて最終搬出を行います。

 

f:id:kgkg80:20191024182216j:plain

新品のフレアチップは手順を逆にたどって取り付けられます。このTubular構造のSecondary lift structureには複数ホイストをかけて、チップを適切な位置にアラインできるようになっています。

全作業が終了したらFirst Lift Structureを再度くみ上げ、これらの機材を搬出し作業は完了となります。ヘリを使うとも聞いたとこがあるので、ヘリを使った資材輸送についても今後調べてみようと思います。

 

以上がフレアチップ交換のALE社技術でした。

 

感想:

日本はこういったオフショアプラットフォームは縁も需要もないですが、海外ではよく見かけます。日本ではこういう技術を持った会社は多くはないと思いますが、今後は国内でも洋上風力、発電、資源開発等のオフショア関連技術が必要になってくるような気がします。海外では安定した需要のある業界のようです。ニッチな分野故既存の業者が牛耳っているような世界ですが、日本の会社もこういったオフショアビジネスを展開していければ更なる発展があるのではないかと思います。

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村