<重量輸送>ALE社Mega Jack Up / 5000トンをいとも簡単にジャッキアップ
世界にはいくつか有名な重量輸送業者があります。今回はその中の一社であるALE社のジャッキアップ技術について紹介します。
ALE社はイギリスに本社を構えていますが、世界各地にブランチオフィスを構えている世界大手の重量輸送業者です。
今回紹介するのはMega Jackと呼ばれるシステムで、プロモーション動画として5000トンの構造物を持ち上げる企画を紹介した動画です。
なお、SUV車が一台約2トンですので、5000トンとはSUV2500台分です。
このMega Jack Systemは最大52,000トンもの重量を25m高さまでジャッキアップできるシステムです。ビルや橋などの超重量級構造物を持ち上げるのに使用されます。
それでは見ていきましょう。
Smarter, Safer, StorongerというALE社のキャッチフレーズから動画が始まります。
下側の赤い鉄骨群がMega Jack Systemと呼ばれるものです。上部に乗っている5,000,000KGと書いてある箱がダミーの持ち上げるアイテムです。
この赤いフレームがジャッキアップで持ち上げられていくウマのようなものです。高さがわかりませんが、目測1200mmくらいはありそう。画面右側に油圧システムによって押し込まれます。
さきほどの赤いウマがこのローラー上になっている面を転がっていき、ジャッキアップ対象物の真下に設置されます。奥に見える銀色に輝く円筒状のものがジャッキです。先ほど挿入した赤いフレームごと上部構造物を持ち上げます。
このように、引いた視点で見ると、長方形の赤いフレームが2本右から左に差し込まれます。ジェンガのように右の面からフレームを二本入れて下からジャッキアップ、次は90°回った面から同様に2本フレームを差し込んでジャッキアップ...を繰り返します。
差し込むフレームはフォークリフトで台座にセットします。
ジャッキは4点設置されており、オペレーターがオペレーターキャビンからモニター越しにどれくらいジャッキアップされているかを各ジャッキごとにチェックしています。画面のCYLINDERと書かれているのが各ジャッキのことです。これくらいの重量になると同調ポンプをこのようにモニターで操作・管理します。
ジャッキ部分の拡大図です。ジャッキアップがシリンダーの最大長さ分まで終わったら、シリンダーを挟んでいるサンドイッチのパンのようになっている部分の赤い2枚の板が90°回転します。回転しきったら、若干ジャッキダウンして、赤いサンドイッチパンの上に挿入したフレームをいったん下ろします。
ジャッキを完全に収納するとこのようになります。再度ジェンガの要領で90°回った面から2本のフレームを挿入して、再びジャッキアップします。
上から見るとこんな感じで、画面右から2本ジェンガフレーム挿入右ジャッキアップ→サポートフレーム90°回転→ジャッキダウン→画面下側から2本ジェンガフレーム挿入→ジャッキアップ→...を繰り返します。
大体一段上げるのに8分くらいです。
これで動画は終わりです。
感想:
やはり世界屈指の重量輸送屋さんALE社だけあって、システムが非常に洗練されています。人件費が高い先進国の技術だけあって、作業にかける人員は最小限、安全性の高いシステム、美しさ、を感じました。前回紹介したコロ引き(<重量輸送>パイプを使った変圧器コロ引き)は誇るべき日本の技術ですが、比較すると動員している人員が全然違います。やはり人件費の違いから技術が違う方向に進歩しているということでしょうか。