SafetyFastブログ

趣味の重量輸送関連技術紹介と、投資関連知識の備忘録です。

Mammoet社の油圧ガントリーで重量物も楽々移動

Mammoet社のHydraulic Gantryを紹介します。
Mammoetはマモートやマムートと発音します。世界屈指の重量輸送業者で、オランダに本社を構えています。世界の重量物輸送から据え付けまで幅広く対応している会社です。
今回はMammoet社の保有する油圧ガントリーシステムを紹介します。

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建設工事や更新工事で移動式クレーンが入っていけないような建屋の中に重量物を搬入出しないといけない場合があります。
以前紹介したコロ引きが狭所や閉所への重量物搬入出の手段の一つですが、据え付けられる基礎の高さが高いとコロ引きのために大量の木材や鉄骨で高さを調整しなければなりません。このような状況で役立つのか油圧ガントリーシステムです。明確な記載はないですが数百トン程度の荷重であれば取り扱いが可能です。

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この紹介動画では回転機用の建屋の中にドライバーユニットのようなものを据え付ける手順を紹介しています。
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このようにSPMT(Self-propelled modular transporter)とよばれるムカデのような車両を用いて搬入されてきているのが今回の吊り上げ対象物です。

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事前に設置した油圧ガントリーシステムの直下に吊り上げ対象物を設置します。

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油圧ガントリー自体の腕が油圧で上昇し、物を持ち上げます。邪魔になるのでSPMTは外に退避させます。

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油圧ガントリー自体が事前に敷設されたレールの上を油圧でゆっくりと移動していきます。港にある巨大ガントリークレーンと要領は同じですが、動力が油圧になります。港のガントリークレーンは基本的に電動です。

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目的地まで吊り上げ対象物を運搬し、ジャッキを下降させて基礎に設置します。

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油圧ガントリーはそのまま外に戻っていきます。


感想:
この操作は画面端にちょこっと出ているオペレーターがコントローラーで行っていますね。省力化が進んでいます。
この機材を使えば、コロ引きと違ってコロ引き用のサポートを組む手間が省けます。
ただし、ガントリーで物を吊り上げるため、上部空間に吊り上げしろがあるかを事前に確認が必要です。また、ガントリーの足が最終設置場所をまたぐ形で配置されますので、ガントリーの足幅と設置目的地周辺の利用可能スペースも確認しておく必要があります。
欧米系の技術であり、日本のように大量に人をかけて作業をさっさとすませてしまう国でははやらない技術かもしれませんが、今後は安全・省力化の流れを鑑みると、日本でも少しずつ普及していくかもしれません。